テーマを決めて巡り歩く-going around。ぐるっと ひとめぐり するWalk。「巡礼」とも言いますね!
今日では希薄になった巡礼(順礼)というコトバに代表されますが、今ではそれをもっとくだいて、自分流にして、自分が目指すものや目的を設定して巡り歩いたり、順り廻ったりするカルチャーウオーキングとも呼べるものが高まりをみせています。
テーマを決めて、 巡り、歩く。
順にまわる。まわって再びもとにもどる。循環形のウォークと言ってもいいでしょう。
その代表例として古くから「巡礼」、「順礼」、「遍路」、「巡拝」といった巡り歩く慣習があります。決められた宗教の聖地を訪ねるgoing around。いまでも多くの人々を惹きつけています。
例えば。ここでのテーマは「板東33観音札所めぐり」。
まはテーマありき。小さなこと、大きなこと、趣味でも好きなことでも、何でいい、何か1つのテーマに絞って、歩き、巡る、訪ねる。そんなことで歩くことがシンプルに活発化します。歩くことそのものにカルチャーでメンタルな一面も備わります。
一つのことに絞れば、おのずと、歩くなかで、内容が煮詰まり、濃くなり、そこでは常に自問自答や嬉しいことに精神の浄化作用もおこります。時に大きな閃きがあったりします。
四国巡礼の遍路には、同行二人(どうぎょうににん)という言葉があります。
被る笠に書きつけるもので、おまじなえのようなもの。弘法大師と常にあるという意といいます。何かあれば弘法大師さまに問い、かつ自問自答する。巡礼とはこの繰り返しの旅で、精神の浄化作用をもたらすものといえるでしょう。
近年、七福神めぐり、御朱印巡りといったものが盛んですが、これも巡り歩きの一つですね。そんなときでも、常日頃と違って、道中で自問自答したりすることがあるのではないでしょうか。
テーマの目標に沿って巡り歩く 。「テーマを決める」ここが最大のポイント。一生打ち込めるものとして若い時から佳作を練るのも一考です!
テーマを決めて巡り歩く。このような歩きを始めたら、歩き続けるのには、最適な歩行形態です。
向かい合う対象や目標が明確だから、心に安心感や客観性なども生まれます。冷静になれ、思惟するに無駄がありません。
巡り歩いているとわたしは、しばし峠道などで呆然と立ち尽くすことがあります。
往々「考える葦」になったりします。
なぜ、わたしは歩くのか!
どうしてわたしは今ここを歩いているのか!
向かうべき「目標」があるからか…。
いささか大げさですが、歩くことは、自分にとってどういうことなのかなど、問題意識が生まれもします。抽象的でなくなぜか。往々にして存在というか、生きるという命題にもつながったりします。
「考える葦」はパスカルの有名な言葉ですね。
考える葦(あし) (フランスroseau pensantの訳語)パスカルの「パンセ」の中の言葉。「人間は自然のうちで、最も弱い一茎の葦にすぎない。だが、それは考える葦である」として、人間が、思考の偉大さと肉の低劣さを同時にもつ存在であると指摘した。
広辞苑
そのパスカルは、「気晴らし」というものを非常に忌み嫌ったそうです。
「気晴らし」で誤魔化すのではなく、「考えるべきだ」ということのようです。
巡礼者の多くが遍路で「考えさせられた」、「考えた」、「考えがまとまった」、「悩みが解消された」とか告白してますが、パスカルの言につながるものでしょう。
わたしは20代のときです。「西国三十三所」(さいごくさんじゅうさんしょ)を巡ったことがあります。観音巡礼です。姉の供養の冬巡礼でした。それは、まさに日々が「考える葦」だったように思われます。
その記憶は今も心の奥底に大きく根を張っています。
どうしたわけか、同じ時期に白洲正子も西国を巡っていました。
白洲正子著・「西国巡礼」
同じ時代の空気を吸っているのでわたしにとってすごく考え深い一冊になっています。
白洲正子54歳のとき。昭和39年(1964)に西国三十三カ所の巡礼の旅に出ています。
だいぶ前のものですが、今でも十分楽しめる紀行文です。
すごいのは、この観音巡礼をする中で「自分が行くべき道ははっきりと見えてき来た」と悟っていることですね。これが、その後の白洲正子を形成したようです。
白洲が紀行文を書くようになった記念碑的作品といわれています。
わたしとしては、巡礼をして以来、目標をもって巡り歩くという習癖のようなものが備わりました。
その一つがずっと続けてきた「街道歩き」「古道歩き」です。
巡り歩きでも、こちらは、「東海道五十三次」という言葉が示すように、次から次へと次いでゆく巡り歩きで、ぐるりと循環するのではなく、起点と着点を結ぶ、やや直線的なものになっています。
街道名を決めて巡るに容易で、趣味としても取り入れやすいもので、近年、団塊世代のカルチャーウオーキングとして注目が集まっています。
このように「テーマを決め」れば、「巡り歩き」はだれにでもできます。
スケールは小さくても大きくてもいい、身の丈、歩幅に「叶うものならば。
自然体で、一生かかったっていいじゃない!そんな気宇壮大なものだってもいい。
自分スタイルで、自分好みの巡り歩けるテーマを見つけ、さあ、今からgoing around!